第1章

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そしてその人をよく見ているからこそ、わんこのように尻尾を振っている(ように見える)姿が気に入らない。 喜川が気づかないのも無理はないけれど。 「とりあえず喜川君はさっき話した、ポスターのモデルピックアップしてみて」 「はい」 勢いよく自分のデスクに向かって行く喜川を見送る。 「だからわんこだって言うのよ」 「いいじゃない。そういうところが喜川君のいいところだって知ってるんでしょ」 「そうですけど……」 初めこそ喜川を嫌っている風に装っていたけれど、最近は私にだけは素直になってきたように思う。 .
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