第1章

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由紀の視線の先には本当に小田切がいて、職場の同僚だろう男性ふたりと歩いてきた。 「こんなところで会うなんて奇遇ですね。ここでランチですか」 「はい、私たちいつもここでランチしてるんです」 丁寧にそんなことまで教えなくてもと思いつつ、由紀の生真面目さなら仕方がないと諦めた。 「僕たちはこの先の定食屋へ。ここを通るのが近道なので。ではまた」 「失礼します」 軽く会釈をして見送った。 公園なのだから、たくさんの人が通る。 知らない人なら気にならないけれど、知ってしまうと通るたびに声を掛け合うことになるのかと思うと面倒に思えた。 「小田切さんて、すごく紳士的ですよね」 .
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