第2章

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分厚い雲が空を覆う朝。 真新しい折りたたみ傘をカバンに忍ばせて家を出た。 電車に乗っている間はぎりぎり降っていなかったけれど、最寄り駅のすぐ手前でパラパラと降り始めた。 小さな雨粒が窓ガラスを濡らす。 「やっぱり降ってきたか」 たいした雨ではないけれど、濡れながら歩くのには大人として抵抗がある。 仕方なくカバンから折りたたみ傘を取り出そうとしたときだった。 「よかったらどうぞ」 横から傘を差しだしてくれた人物がいた。 「小田切さん!」 .
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