第2章

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「僕の傘大きいので、よかったら一緒に……」 大きいと言うように、女性はあまり使わないサイズの傘が空を覆っていた。 これなら会社までほとんど濡れずに辿り着くだろう。 「傘……」 持ってます、のひと言は小田切の朝には似つかわしくない程の微笑みにかき消された。 相合傘など何年振りだろう。 田村ともしたことがないかもしれない。 いやいや、ここで彼を思い出す必要はない。 思わず首を振った。 怪訝な表情でこちらを見ていた小田切に苦笑いを浮かべた。 .
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