第2章

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姪を頭に思い浮かべているときの小田切は目じりが下がり、可愛くて仕方ない様子が見て取れた。 こんなにエリートサラリーマンもただの叔父さんなのだ。 結局小田切と他愛ない世間話をしている間に会社に到着してしまった。 「傘、ありがとうございました。肩が濡れてしまいましたね」 大きな傘にもかかわらず、私に傘を優先したせいで小田切の右肩が少し濡れていた。 ハンカチを取り出そうとしたけれど、大丈夫だと笑顔で返された。 「こちらこそ、折りたたみ傘の出番を邪魔してすみませんでした」 「知ってたんですか?」 「ええ、ちらりと見えていたので出す前にと思って、強引に誘ってしまいました」 さすが出来る営業マン。 .
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