第2章

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ピンと来ていなかったのだけれど、由紀は相当興味を引かれているらしい。 「朝から相合傘って、もしかして一緒の家から出勤してきたんですか?」 「まさか。駅でばったり会っただけよ」 どう考えても仕事相手と、しかも知り合ったばかりの人とそんなことはありえない。 「でも、後ろから見てるといい雰囲気でしたよ」 声を掛けるタイミングがなかったと言われたら、少し反省してしまう。 「私が折りたたみ傘持ってることに気が付かないで傘に入れてくれたのよ。いい大人が雨に濡れて歩くわけにもいかないでしょ」 恥をかかせるわけにもいかないし、人の厚意は無下に出来ない。 「やっぱり小田切さんって、白石さんに気があると思うなぁ」 「紳士的な振る舞いが出来る人なだけよ」 .
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