第2章

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私の傘に気が付いていたことはあえて言う必要はない。 取引先の人間が目の前にいたら、良好な関係を築く努力をするのは当然だ。 彼もそうしたに過ぎない。 「どんな話をしたんですか?」 エレベーターに乗り込むと、珍しく中は静かだった。 隠すような内容ではないけれど、静かすぎてみんなに聞こえてしまう。 後で、そう合図して階数表示を見上げた。 途中の5階と7階でほとんどの人が降り、私と由紀ともうひとりだけになった。 「あ、喜川君」 「おはようございます」 .
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