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羊の夢
…………。
―――はっ。
目を覚ますとそこは夢の中だった。
羊を数えた影響か、周りはたくさんの羊がいて、おまけに僕も羊になっていた。
夢っていうのは、その日一番印象に残ったものが色濃く反映されるみたいだからな。
ポカポカとした陽気が暖かく、爽やかな緑が心地よくて。ずっとここにいたい…天国、と言う言葉がよく似合う場所だった。
ただ、得体のしれない場所に留まるのも良くないな。
まずは情報収集と言ったところか。
ここは僕の夢の中だし、意識のはっきりしているうちにたくさんアクションを起こしたほうが楽しいに決まっている。
そこで僕は、近くにいた一頭の羊に声をかけた。
幸い羊語は知っていた。
「ここは何処なんだメー」
羊はメーと鳴くから、語尾にメーを付けるのが羊語特有なものだと考えた。すると相手の羊に通じたようだ。ただ、かなり険悪な顔をしていたが。
「羊がメーと鳴くからといって、我らが語尾にメーをつけると思ったら大間違いだ。」
「そ、そうかそうか。ははっ、冗談だよ」
「ふん。おメー新顔か?可哀想にな。残念なことにここはな、地獄なんだよ」
「はっ?地獄なわけないだろー。
さっきの冗談で怒ってんのか?」
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