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「は…はぁ??脅してるのか?
つまり僕はもう、現実では死んでいるってことか?
ふはは、笑わせないでくれ」
内心は、違った。
焦りや不安。
そう、僕には、現実世界でもう死んでいても良い当てがあるんだ。
「……これが、実は本当なんだよ。
ほら、あそこの羊。あいつは現実で自殺願望があった。故に密室で七輪をたいたまま眠ったんだ。眠る際に羊を数えたみたいだぜ。俺も、そんなようなことがあったから、信じられる。……お前にも死んでいる理由があるはずだ」
「……理由は、あるにはあるけど、それが真実なのかわからない。僕はこの夢に来る前に、事故にあっていて、大怪我をしていた。その痛みを紛らわすために羊を数えて眠りについたんだけど……」
「そのまま、息を引き取ったんだろうな」
…そんな。お母さんにも、お父さんにももう合えないのか?別れも告げてないのに?
事故の瞬間を思い出す。大型のトラックが、歩道へと突っ込んでくる――。
怪我をして、痛みに耐えて夜更けを待ったあの夜。
眠らないで、両親が僕を迎えに来るのを待っていればよかったのだろうか?
眠ってしまったことによって、もう――会えないんだ。
僕は泣いた。
涙が流れているのかもわからないけど、それでも泣いた。
…あの夜眠れずに困っていた僕に、眠ってはいけない、と助言したい。
そんなことを思っても、もう意味はないんだ…。
さようなら、現実の世界。
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