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……泣いてる。顔は見えないが、裕斗は確信した。こんな所で一人で泣いて、どうしたんだろう。
誰にも頼れないのか。
裕斗の頭がすっと冷えた。静かに泣いている女子生徒をどうにも出来ず、裕斗はただ彼女が泣き止むのを待つしかない。
先程までの混乱は嘘のように消え去って、やるせなさに黙って耐える。裕斗は一人で泣く気持ちを知っていたから、赤の他人なのに刺さってしまった。
しばらくして洟の音が聞こえなくなり、女子生徒が立ち上がる。何事もなかったかのようにスクールバッグを肩に掛け、細い背中が引戸へ向かった。その背筋は真っ直ぐに伸びている。
引戸を通る瞬間、女子生徒の横顔が見えた。何かと張り合うような、強い目をしていた。
女子生徒が出ていった後、ようやく裕斗は元の姿に戻った。西行に追われた恐ろしさや、知らない他人とはいえ女の子の泣く姿を見てしまったせいか、胃の辺りが重い。
帰り道、西行と出くわさないかと警戒していたが、裕斗は無事に家に帰ることが出来た。家に入った瞬間どっと疲れが出てきて、裕斗は着替えもそこそこにベッドに飛び込む。布団に潜り込んで、枕に頭を押し付けた。
目を閉じると、女子生徒の後ろ姿が浮かぶ。泣いていたのに、その背中には力強ささえあった。
どうして一人で泣いていたんだろう。
答の出ないことをぼんやり考えながら、裕斗は眠りに落ちていった。

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