第二話

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☆ 「着いたぞー」 「少し、蒸し暑いですね」 シャルムは手でパタパタとあおいだ。 「立ち入り禁止エリアはここからだ」 下層中央区。地下街ともいわれる下層区は日差しが定期的にしかこない。それは規定の時間になると換気のため一部の下層区の天井が開くからだ。 プシューと音を鳴らし、パイプ管から蒸気が出る。そんなパイプ管だらけのトンネルを通る二人の前に何にかの男性とすれ違った。皆、Tシャツかグレーの作業着を着ている。ルダーは男性とすれ違う度、「お疲れ様です」と声をかけた。シャルムもそれを真似する。 やがて動力部に着いた。広い空間の真ん中に大きな球状の鉄の塊があった。周りからは鉄を叩く音や先ほどのパイプ管からの蒸気が噴き出す音、人の声で騒がしい。
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