(1) 不機嫌のワケ

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「アサガオの観察、みたいな」 「!」  先輩の表現に爆笑してしまいそうになった。  小学生の頃に誰もが経験するだろう、夏休みのアサガオ観察!  でも、まさにその通りだと思った。 「先輩、そのセンスすごいです。ピッタリ!」 「そんで、オレを怖がらない。……最初は他のヤツみたいにビクビクしてたけど」  先輩が本気で怖い人じゃないと気付いてからは、怖がる必要なんてなかった。 「……オレが眉間に皺寄せてても、平井は怖くないんだろ?」  もちろん、とばかりに私は思い切りよく頷く。  すると、先輩はまた少し表情を和らげた後、照れたようにフイと横を向いた。 「なら、別にこのままでいい」  心臓がバクンと大きく波打った。
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