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再び・・・・
「一階まで送りますよ」
着替えた二人は、また手を繋ぎ、エレベーターで、一階まで降りた。
裏口から出ようとして、ふいにノアが、キスをした。
寧音の心が、再び、大きく弾んだ。
ノアが好き・・・
この情事が、『仕事』であり、ノアがかりそめの恋人役を演じていただけだとしても、寧音は忘れかけていた充足感を味わっていた。
寧音の心を掴んだのは、ノアの仕事に対するプロ意識と、客である寧音に対する心からの優しさだった。
それは、言葉では無く、体を重ねる事で、否応なしに伝わるものだ。
特に、女同士の場合は・・・
「お休みなさい」
というノアに
「ありがとう」
と、自然にお礼の言葉が、寧音の口からこぼれ出た。
軽く手を振りあい、扉が閉じられノアの姿が見えなくなっても、少しの間、寧音は閉じられた扉の前にたたずんでいた。
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