4.三角形のバランス《麗華と北》

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入社してから、幾度となく3人で飲みに行った。 上司に腹が立った時。どうしようもないクレームを出した時。あらぬ噂を流されて困っている時。大曾根と彼女が喧嘩した時。 俺たちは肩を寄せ合って、居酒屋を飲み歩き、慰めあったり祝いあったりした。 危うい三角形。 それがただの三角形ではなくなったのは、いつからだろうか。少なくとも俺は、すぐに離脱した。要するに、麗華に惚れたのだ。どうしようもなかった。気づいた時には戻れなくなっていた。 麗華も、すぐに離脱した。と思う。大曾根に惚れたのだ。直接聞いたことはないけれど、そんなのすぐわかる。俺が1番そばで見ていた。 よくある話。よくある、三角関係。
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