6.それから《部長と鈴》

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「どう?久しぶりの本社は?」 部長は、いつものようにネクタイを少し緩めながら カウンターに入ってお酒を選ぶ。 もうすっかり馴染みを通り越して、店員の一人になっている。 「部長、それ先月東京に戻ってきてから毎回聞いてません?」 あ、私は梅酒ソーダ割で と鈴は部長に伝える。 「そりゃ、気になるからさ」 自分の都合で引き戻したり、引き離したり 40オーバーのオジサンがすることではないことくらい よくわかっている。 「また顔にでてる。俺のせいだって」 ふぅ。 鈴はやれやれ、という表情でカウンター越しの部長から グラスを受け取った。
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