6.それから《部長と鈴》

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「じゃあ、私はこれで。いつもありがとうございます」 鈴のマンションのエントランスまでたどり着いた。 夜が更けようが真昼間だろうが、毎回家の前まで送り届けてもらう。 有難く感じながらも、帰る場所が違うことを 見せつけられている気がして、どうにも鈴は切なくなる。 「ちょっと待って」 鈴は振り返る。 「なんですか?」 「結婚しないか」 「はい?」 真夏の22時。 まだ人通りが多いこの場所で何を言っているんだろう。 鈴は冷静に彼を見つめる。
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