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「じゃあ、私はこれで。いつもありがとうございます」
鈴のマンションのエントランスまでたどり着いた。
夜が更けようが真昼間だろうが、毎回家の前まで送り届けてもらう。
有難く感じながらも、帰る場所が違うことを
見せつけられている気がして、どうにも鈴は切なくなる。
「ちょっと待って」
鈴は振り返る。
「なんですか?」
「結婚しないか」
「はい?」
真夏の22時。
まだ人通りが多いこの場所で何を言っているんだろう。
鈴は冷静に彼を見つめる。
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