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人生で恋に落ちたのはあれが初めてでは無かった。
だけど、それは確かに、いままでの恋を恋と呼べなくなるほどの気持ちだった。
そう、あれが私の本当の初恋だったんだ。
中学2年生 春
「美和、部活いこっ」
私、青山美和に声をかけたのは友達の遥。
遥とはマンションもクラスも部活も一緒だ。
部活はというとバレーボール部で
この日は2年生になって初めての部活動だった。
「今日からだね、男子バレー部ができるの!」
遥はワクワクした表情で言った。
そう、今年の1年生から男子バレー部が
できるのであった。
「しかも経験者いっぱいみたいだね。後輩に負けないように私も頑張らないと...」
私は遥に比べて特別バレーが上手なわけでは無かった。
ましてや経験者の後輩ができると聞いて少し焦っていた。
体育館につくと、男の子たちが既に練習を始めていた。
まだまだランドセルをおろしたばかりの幼い子たちだった。
しかし、やはり礼儀がなっている。
彼らは大きな声で挨拶し、ひとりひとり自己紹介をしてくれた。
続いて遥が自己紹介し、私もあとに続く。
「青山美和です。よろしくね」
みんなは結構すぐに打ち解け、
1週間もたてば冗談も言い合えるような仲になった。
部活の中でいわゆる「いじられキャラ」だった私は後輩からもよくいじられるようになった。
その中でも私をよくからかってきたのは永井和真だ。
彼は私のことを「みわちゃん」と、呼んだ。
後輩なのに、馴れ馴れしいと最初は思ったが
それが「嬉しい」と思い始めた時にはもうきっと
彼に恋をしていたんだと思う。
背も、歳も私より下なのに
どうしてか私は気づけば彼を目で追い、
話せると嬉しい存在になっていた。
でも私は知っていた。
和真、あなたには同級生に彼女がいたの。
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