黒猫と鏡

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程なくして、授業の終わりを告げるチャイムが鳴る。 それまであまねには目もくれず丸くなっていた黒猫が、ちらりとあまねの方を見た。 数秒間だけ目を合わせた後黒猫は椅子から飛び降り、学生たちに混じって教室を出て行き、すぐに姿が見えなくなった。 「あ! ちょ、ちょっと!」 あまねは慌てて荷物をまとめると、黒猫を追いかけて教室を飛び出す。 黒猫と視線が合った時、何故だか呼ばれているような気がして、毎日平々凡々な日々を過ごすあまねにとって、これから何かが始まる予兆にすら感じられた。 あまねが再び黒猫を見つけ出すまでに、そう時間はかからなかった。 黒猫は人々の足元を小走りで縫うように駆けていく。 「はっ...はあっ...見失っちゃいそう...」 必死で黒猫を追いかけていたあまねだったが、ふととある建物の前で足を止める。 それはとても古い建物でほとんど使われることもなく、あまねも一度も立ち入ったことのない場所だった。 「ここって...」
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