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俺の世界に寄り添おうとした人間は今まで他にも居た。
小学校のときも、中学になっても、そして、今でも。
動機はみんな大体同じだ。
俺の見た目のせいか、俺に好かれたいと願う人間は少なくなかった。
ある日の放課後、知らない女子に呼び出された。
どうせまた似たような用件だろう。
下駄箱で彼が待ってるから早く戻りたい。正直面倒だ。大体、そっちが勝手に話したいだけなのに何で毎回呼び出されなくちゃならないのだろう。俺は話すことなんて何もないのに。
人気のない中庭で、ロングヘアーの女の子が待っていた。俺が来たと分かるとそわそわしだして、手に持っていた手紙のようなものをぎゅっと握りしめる。
そしてこちらからは見えないとでも思っているのか、校舎の影に様子を窺う数人の人影があった。友だちが応援でもしてるんだろうか。
無駄なのにな…。
彼が待ってる。早く戻りたい。
俺の頭の中はそのことでいっぱいだった。
「急に呼び出しちゃってごめんなさい」
本当に。そう思ってるなら呼び出さないで。
なーんて言ったら彼が怒るだろうから、言わない。
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