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「また告白?」
「うん、多分」
放課後、頼んでもないのにいつも俺のクラスまで迎えに来る幼馴染みから、今日は「ちょっと待ってて」と連絡が来た。
大人しく下駄箱で待っていると、待ち人は結構すぐに現れた。
「多分て」
「何か手紙渡された」
「告白だろ、それは」
「へー」
へーっ、て!もっと興味持てよ。
中学の時から何気にそこそこモテてたけど、高校に入ってこいつの背が伸びるにつれ、女子人気にますます拍車がかかっている気がする。
こいつの奇行の数々は校内でも有名だが、それでも今月に入ってもう三回は告白で呼び出されてるんじゃないか。
世の中どうなってるんだろう。
やっぱり見た目か。見た目なのか…!
「俺もイケメンに生まれたかった」
「イケメンかどうかは分かんないけど、かわいいよ?」
「かわいくないし嬉しくないしチビじゃない」
「そこまでは言ってない」
靴を履いて校門を出る。
野球部の掛け声がグラウンドから聞こえる。アップを終え、運動部は今から本格的に活動するんだろうな。
「また断るの?告白」
色違いのタイル。この前白いとこだけゲームして歩いていた道路に出た。
今日は普通に歩いている幼馴染みに聞くと、彼は「うん」と迷いなく答えた。
「なんで」
「なんでって?」
「なんで毎回断るの」
「断っちゃ駄目なの?」
「駄目じゃないけどさ、彼女とか欲しくないの?もう高2じゃん」
「お前もいないじゃん」
「うるせぇな。おれのことはいいの!
お前こそ何回もチャンスあるのに何で恋人作らないの」
「作って欲しいの?」
「俺は…いやいや、それは俺じゃなくてお前の意思だろ」
「じゃあ断るのやめようかな」
「えっ」
「え?嫌なの?」
心なしか嬉しそうだな、こいつ。からかわれてる気がする。
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