俺の世界ときみの世界と

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今日も今日とて隣の変人は、のんきに下手くそな鼻歌なんか歌っている。わざと下手くそに歌っているのか本当に音痴なのかは分からないが、楽しそうなことはいつもと変わらない。 …恋人の前でもそんな風に歌うのかな。 あの日から時折そんなことを考えるようになり、何だかもやもやが消えない。 次告白されたら、こいつは断らないかも知れない。そうしたら今度はその子とこうやって一緒に帰るんだ。 恋人だから、多分手を繋いだりなんかして…。 おかしいな。 普通は祝福すべきことなのに、その光景を想像するたびに心に鉛が溜まっていくみたいな感じがする。 素直に喜べないなんて、嫌な奴だなぁ俺。 …逆にもし俺に恋人ができたら? こいつは喜んでくれるんだろうか。 「なぁ、もしさ」 「んー?」 「もし俺に恋人ができたら」 そこまで言いかけると、彼の足がピタッと止まった。またいつものあれか? そう思って振り返ると、眉間にシワを寄せて何やら考え込んでいる幼馴染み。こんな表情はあまり見たことがないが、今度は何だろう。全く人が話してるってのに。 すぐに彼は何事も無かったように歩き出し、俺に聞いた。 「告白でもされたの?」 「いや、されてないけど」 「じゃあだれか気になる子でもできた?」 「いや、そんなんじゃなくて。だから例え話で」 「欲しいの?」 「…え?」 「恋人が、欲しいの?」
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