otherside

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昔っから俺の行動は周りからすると意味が分からないらしい。 物心ついたときからずっと周囲から変だ変だと言われてきた。家族は理解できないなりに暖かく見守ってくれたけど、たまに会う親戚とか幼稚園の友だちとか、先生にも言われたことがある。 よく言われたのは、「何考えてんのか分からない」という言葉だ。 俺は別に隠す気もないから話そうとするんだけど、そうすると「別にいいよ」と返される。 「分からない」と言うわりにはみんなさほど興味が無かったみたいだ。 ならはじめから放っておいて欲しい。 小学校も高学年になると、俺はますます孤立した。まだ子どもなのにみんなやけに大人びて、「まだそんなことしてるの」なんて言う。 もう慣れっこだし、誰にも理解されなくてもいいと思っていた。 …違う。 本当は、誰かに聞いて欲しかった。 面白いものやきれいなものを見つけたとき、こんなものがあったよって、ほんとだすごいねって、そう言い合えるだけで良かった。 俺の見ている世界を、誰かと分け合いたかった。 小学校5年の春。 「なにしてんの」 校庭の花壇の横でしゃがみこんでいると、背後から訝しげな声が掛けられた。 その台詞は俺の人生で多分最もよく言われてきた言葉だ。 その後の反応も大体予想ができる。 「別に」 振り返りもせずぶっきらぼうに答えた。 どうせ言っても分からないだろう。 「あっ!」 話しかけてきた少年が突然驚いたような声をあげた。 びっくりして思わず振り返ると、さっきの不機嫌さはどこへやら、真ん丸い瞳をきらきらさせた少年が近寄ってきた。 こいつは確か今年初めて同じクラスになったやつだ。
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