第一章 彼のなんてことない日常の一部

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第一章 彼のなんてことない日常の一部

 彼の一日は、目覚まし時計の騒音から始まる。  彼の名はカイト。どこにでもいる、普通の高校生だ。  特に秀でたことはなく、容姿に関してもそれは同様。平々凡々な、ただの学生である。    朝食を済ませ、身支度を終え、いってきますの声と共にカイトは学校へ向かい始めた。  学校までは徒歩で十分程と、かなり近い。遅刻の心配は無用だ。いつも予鈴間際に慌てて来る連中を見ていると、この近さというステータスはあって良かったと実感できる。 「おっはよー!」  家を出てすぐに、陽気な声が飛んできた。  いつもの事だが、よくもこう朝から大声が出るものだ。 「おはよ。相変わらずだな、ヒナタ」  カイトの言葉に、ヒナタは誇らしげに「それほどでも!」と胸を張る。そんなヒナタを尻目に、カイトはゆっくりと歩を進め出した。  カイトとヒナタは幼馴染みであり、一緒に学校へ行くのも、毎朝の他愛ない茶番も、彼にとってはもはや日常の一部なのだ。    「やあやあ! 二人共、今日も仲良く登校してるねぇ!」  そして、校門前で会う度に飛んでくるアヤコの野次も至っていつも通りである。 「おはよー、アーちゃん!」 「今日も綺麗だよ。マイスイートハニー、ヒナタ」  方膝を着いて、まるで執事か王子のようにヒナタの手をとるアヤコと、頬を赤く染め照れるヒナタ。校門前で演劇まがいな事をやり始める二人を無視して、カイトは教室へと歩み出したのだった……。
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