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奇妙な訪問者があった。
青いストライプのスーツを着、ブランド物の腕時計をはめている。頭髪にはポマードをべったりと撫で付けている。どこからどう見ても信用のおけない男だ。
「ご提案をお持ちいたしました」
男はベッドの上にパンフレットを広げた。
整髪料と香水が入り混じった妙な匂いが漂ってきた。
「コールドスリープのご相談です」
男は言った。
パンフレットには冷凍冬眠について書かれていた。否、正確には「冷蔵冬眠」というべきか。体温を30度前後まで下げた状態で、特殊なカプセルの中に安置する。生命活動は極限まで縮小する。呼吸も、心臓の鼓動も1分間に1度程度となるという・
「この技術は、老化速度を1/60まで低下させます」
職業柄、コールドスリープについては随分と詳しく調べた経験がある(残念ながら作品には生かせていないが......)冷凍してしまうと細胞内の水分が膨張し、組織を破壊してしまうのだ。このため、蘇生は絶望的である。
だが「冷蔵」なら、可能性はゼロではない。
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