戦場駆ける、王の子供達

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異形の怪物はぐるぐると回転し、素早い斬撃と共にシュラへと迫る。 一見すれば接近は難しく見えるが、あまりにも単調。 たった一撃を強く弾けば、怪物は大きく姿勢を崩す。 そうなってしまえば、例えそれが十歳程度の子供であっても、剣さえ手にしていればシュラのように、心臓を一突きにすることは十分に可能だ。 「おのれ……ッ!」 影達が一斉に動き出す。 シュラに向けての同時攻撃を開始したのだ。 「我が剣、一瞬でも味わえることを誇るがいい!」 シュラの反撃は的確であった。 側面より迫る最速の影を横に両断、その勢いを利用することで半回転、後方から降下しつつあった影を斬り上げ、致命傷を与えつつ弾き飛ばす。 眼前より迫る影には頭部を貫くことで対処し、両側面から飛来する短剣は地面に接触する寸前まで姿勢を低くすることで回避、後に渾身の力で大地を蹴り前進、背後より迫っている影達との距離を作る。 そして左方の建物へと体を反転させつつ飛び移り、向かい側の建物へと更に飛び移る。 あまりに高速な動きに足を止めてしまった影達の先頭の者の眼前に降り立ちつつ、頭頂部からそれを両断、後続の影達が攻撃へと映る前に、それらの首を全て、真正面に立った状態で真一文字に剣を振るうことで斬り捨てた。 「ヒュー!さっすが俺の弟だ、ゴテゴテしてないスッキリしたデザインとはいえ、鎧を着込んだ状態でよくそこまで軽々と動き回れるもんだ」 「軽ミスリル合金性です。装備を全て合わせても、総重量は10キロもありませんよ」 「だとしたってスゲェよ。……さて、そろそろ来る頃だな」 二人の大立ち回りは、遭遇したゴミ処理部隊の全滅という形で幕を閉じた。 しかし、街全体に広がった数としては、恐らく一部に過ぎないのだろう。 無論、これほどの状況ともなれば、祝勝会の最中であろうともすぐさまスイッチが入るのが、二人の率いる部隊である。 「ベルニカ様ァッ!やはりご無事でしたか!」 数人の兵士を連れ、建物を飛び移りながらやってきたのは、ベルニカの率いる部隊の副長であった。
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