戦場駆ける、王の子供達

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「対応が早くて助かるぜ。状況の報告を頼む」 全力で駆けつけてきたのであろう、彼らは全員肩で息をしている。 それでも休むことなく、副長は報告を始めた。 「市街地は未だ混乱真っ只中、我々とシュラ様の騎士団は混合編成で、十人前後の部隊で救助活動、及び殲滅作戦実行中!殲滅率は全体の三割、各隊の損害は軽微なれど、いずれ無視できないものへとなり得ます!」 「敵の情報は?」 「秘匿されていた特殊部隊の他に、歩兵が二千人ほど侵入しております!また、村人や衛兵に扮していた者も確認されており、未だ未知数です!」 ベルニカは表情を歪めながら、舌打ちをする。 祝勝会を開かせるべきでも、二人で街で飲んでいる場合でもなかったと、そう考えているのだろう。 「雑兵は適当に潰しておけばいい!十倍の数でもお前達なら勝てる!だが、特殊部隊は同数以上だと勝ち目が薄くなる。魔術無線で伝えろ!数で負けてたら逃げて逃げて逃げ回って、仲間と合流できて数で勝った時に反撃しろってな!」 副長は懐から小型の機械を取り出し、ベルニカの言葉をそっくりそのまま叫んでいる。 その間、シュラもまた、同じ機械で何者かと会話をしていた。 「誰か呼んだのか?」 「本国で待機中の『白百合医師団』、それと転移魔術を使える『百人騎士』を招集しました。数分以内に、姉上側のギルバート卿、アーガス卿、リリニア博士、私側のアーノルド伯爵、イェンバル卿、オフィーリア薬術隊より三名、以上が参戦します!」 「それだけ居れば戦いは勝てる。あとはユリア姉ちゃん達がどれくらいで来られるかだが――」 「それについては、何も問題はありません」 背後から、女性の声がした。 振り返るとそこには、純白の祭服(さいふく)を纏った美しい女性が、一人の騎士と共に立っていた。
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