戦場駆ける、王の子供達

7/17

3人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「へぇ、じゃあそっちも大したことなかったんだな」 「不意打ち、騙し討ち、あそこの兵士はロクな戦い方を知らん。それが通じず、ただの殴り合いになれば、ウチの騎士が勝つのは当然だ」 「おいおい、遊撃やってるねーちゃんにそういうこと言うなよぉ……。まぁ、俺の仲間は一騎討ちでも最強だけどな!」 ベルニカは笑いながら、発泡酒を豪快に飲み干す。 シュラはと言うと、オレンジを主体としたカクテルをゆったりと飲んでいる。 「しかしよぉ、個室が空いてたのは良かったな!そうじゃなかったら、結局いつものお堅いシュラだもんな」 「別に、慣れてるからいいんだけどな」 つまみの干し肉を齧りながら、シュラはあっさりと答える。 ベルニカも当然、王族として振る舞うことはあるが、彼女にはそれが苦痛で仕方がない。 だから弟のシュラには、もっと伸び伸びとして欲しいと願っているのだ。 「向こうは騎士の大半を失ったな。普通の歩兵はさっさと逃げ帰っちまったけど、全体の規模は小さい軍だ。かなりの痛手だよな」 「どうだか。確かに騎士も弓兵も弱かったが、あんな戦力だけで本当にウチに喧嘩を吹っ掛けるのか?ねーちゃんよぉ、アイツら魔王一族と戦ってる自覚あんのかよ」 「それは敵さんに聞かねぇとなぁ」 小一時間ほど飲んでいただろうか、外は暗くなり、店が賑やかになりつつある。 「そもそも、こんなにアッサリと倒せる相手に、ワザワザ俺達を親父が差し向けるのか?もっと近くに、有力な将兵が居るだろうに」 「確かに、言われてみれば……ちょっとおかしいかもな。あっ、すんませーん!枝豆と唐揚げ二人前ー!」 「真面目に聞いてんのかよねーちゃん……」 呆れ果てたシュラは、ついに真面目に話をすることを諦めた。 ベルニカはシュラの話は聞いてくれる方ではあるが、酒が入っているとどうも聞いているのか不安になる。 あまり酔っているようには見えないが、ここは話を切り上げる方が得策であろう。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加