戦場駆ける、王の子供達

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二人は店を飛び出し、周囲の状況を確認する。街の至るところから火の手が上がり、怒号が飛び交っている。 「おいコラァッ!!肥溜めの底の、クソの塊みたいな出来損ない忍者野郎共!!サタンズラグナの王女と王子はここにいるぞ!!殺せるものなら殺してみやがれ!!どーせテメェらは、無抵抗な市民しか殺れねェ臆病者だろうが!!」 ベルニカは声を張り上げ、自身の居場所を示す。 シュラはその背と合わせるように立ち合い、無数の影を睨み付ける。 「仇討ち上等!!かかって来いやァッ!!」 呼応するかのように、漆黒の影が周囲の建造物より飛び出す。 漆黒の軌跡を残す素早い動きだがしかし、二人が見切るのは十分に可能である。 「半分任せるぜ!」 「啖呵切ったなら全部片付けてくださいよ!」 影は、黒く塗り尽くされた何かを二人に投げつける。 火の手が上がっているとはいえ、決して明るい状態とは言えないその状況下において、漆黒の投擲武器は実に有効な手段だ。 「ハッ!そう来ると思ったぜ」 しかし今回は、相手が悪すぎる。 二人は、全方位から迫る漆黒を、一つ残らず叩き落とす。 その内のいくらから元の持ち主へと打ち返され、その肉体を抉りとる。 「俺達に当てたきゃ、倍のスピードで投げな!色を塗ったところまではよかったが、使い手の技量が足りなさすぎるぜ!」 挑発的な言葉を繰り返すベルニカの頭上より、影が一つ、音もなく襲いかかる。 その短剣が彼女の登頂部に突き刺さろうかと言うその瞬間、影の顔面中央に穴が穿たれ、胸部から腹部にかけてが強烈な閃光と共に爆散、周囲の影の目を眩ませる。 「貰ったぜ、ゴミ処理部隊!」 ベルニカの姿が、街道を踏み砕く音と共に消え去る。 そして視覚情報を一時的に遮断されていた影達の首が、次から次へと跳ね翔ばされて逝く。 辛うじて反応した者も、ある者は両断され、ある者は拳と壁に押しつぶされ、ある者は心臓を三度(みたび)刺し貫かれる。 逃げるためか、戦術か、背を向ける者も居たが、何かを成す前にやはり幾度も切り裂かれ、絶命する。 シュラ側に居た者達は幸運であったのだろう、数分なれど命が延びたのだから。
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