03 彼女の名はエミル

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「故障というなら、修理しないといけないよな……」  灯雅は当たり前のことをおずおずと言った。 「それはそうかもしれんが、現実、どうするんだ? おれたちには無理だろ」 「ううむ……」  至極当然のことを秀電に言われ、灯雅はうなるしかない。故障が直らないとなれば、今後どうすればいいのか……。 「だいじょうぶよ」  するとエミルが、悩む二人に平然と言う。なんの問題もないといった無表情で、少しも困った様子ではない。 「自動修復機能あるから平気よ」 「いつ直るんだ?」  灯雅が身を乗り出した。  が、エミルは明確な日時を言わなかった。 「それはわたしにもわからない。でもいつか直る」 「早めに直ることを祈るよ……」  ため息まじりに秀電は言った。 「それまでは……」  それまでは──。  どうするんだ?  兄弟は互いに顔を見合わせた。
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