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ぜったいにこのクローゼットから出ちゃだめだよ──。
翌朝、そう言い残して家を出たものの、麦沢兄弟は不安がどうにもぬぐいきれない。
「だいじょうぶかなぁ……」
と、徒歩で中学校へ向かう弟・灯雅に、
「おれも心配だが、ここは信じるしかないからな」
自転車に乗って駅へと向かおうとする兄・秀電は腹をくくっていた。
ロボットなら、退屈を持て余して勝手に行動せず、いつまでもじっとしていられるだろう。それを期待するしかなかった。
幸いすでに両親とも働きにでて、日中は家にはだれもいない。発見される可能性は低い。昨夜はうまく乗り切った。
「クローゼットに入っていろと言い残してあるのを、たぶん、律儀に守ってくれるだろう」
万が一親に部屋に入られても、クローゼットの中まではのぞくまい──そう念じつつの登校であった。
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