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眠い。疲れた。睡眠時間が二時間。いや一時間か。寝たことにならないだろ。
部内のソファ席にタオルを顔にかけて横たえていた。
いつもこうしてここで眠る。デカい図体が邪魔なんだよとか、こんなところで寝るなとか、安置室の遺体みたいとか揶揄の声が降ってくるけど、そんなことを気にしていられないし、そもそも気にする性格ではない。
目を瞑ると瞼の裏に何かが見える。
綿埃のような灯火がふわふわと浮かんで、まるで魂を空に運ぶように遠くに消えていく。
これって何なの。幻覚なの。それとも亡者の怨念かな。
今まで葬ってきた人間の。
それともそうじゃないほうの人間の?
「おい、エース」
俺って外国人だったの。その呼び名何。カッコイイと思って使ってんの。だせえよ。そう言うと逆に面白がって多用されそうだから黙っておく。
素知らぬふりをしていたらタオルを剥ぎ取られた。眩しいなんてものじゃない。天井の蛍光灯の無情なまでの光が悪魔祓いのような威力でもって退治してくる。自分の邪悪な心を。
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