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「面倒くさいですよね、女って。ムードがどうとかいちいちうるさくて」
職場のソファで寝転がっていると、顔にかけたタオル越しに会話が聞こえてきた。
おそらく、会話しているのは特捜部の事務官たち。昼休みに食事に出かけた面子がぞろぞろ自分のデスクに戻ってきたようだ。まだ昼休みは終わっていないから、プライベートの会話に花を咲かせているのだろう。
ま、どうでもいいけど。
眠気でぼんやりしているからそのまま聞き流す。
「そういうもんだろ。特に付き合い始めのころは」
「でも男っていまいちぴんとこないですよ。ぶっちゃけホテル行ってやることやったら速攻帰りたいじゃないですか」
「そりゃ本音はそうだけどさ、彼女はデリヘル嬢じゃないんだからそれなりに機嫌とらないと」
「その機嫌の取り方がわかんないんすよ」
「女はとにかくオシャレとか流行ってるとか人気のものに目がないからさ、そういうの買ってやったり食いにいったりしとけばいいんだよ。ていうかおまえいつもどんなデートしてんの?」
「デートっていうデートじゃないっすね。腹減ったらラーメンとか食って、パチスロ一緒に行って、レンタル屋でDVD借りて、部屋に帰ってスマホゲームしながらだらだらしてる感じで」
「うわ。それ駄目なやつだろ」
「え、そうっすか?」
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