SS 「溺愛と日常」

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 水落ががつがつしているから、消極的な宝来との関係がややもすると一方的のようなやりとりになってしまうのは仕方ないのかもしれない。 「…えーでも彼氏からしょっちゅう連絡くるのってうざくない?」  一人でも店にこられるようになったので、昼休みに一人で期間限定のハンバーガーを食べていたら、隣席から会話が聞こえてきた。若いOL風の女性たち三人ほどが賑やかに会話している。  今まさにその手のことについて考えていたため、どきりとしてつい聞き耳を立ててしまう。 「何で? わたしは嬉しいけど。だって彼なんて全然連絡くれないし、既読スルーも当たり前だし」 「わたしはそれくらいそっけないほうが好きな気持ちが持続する気がする。あまりに連絡きまくりって、こっちに夢中なのが丸わかりで恋愛を楽しめなくない?」 「確かに駆け引きもへったくれもないわよね。でも既に付き合ってるんだから駆け引きとか必要なくない?」 「うーん…何ていうか、あんまりガツガツこられると醒めちゃうの、わたし」 「じゃあどういう人がいいの?」 「『俺あんまり連絡しないタイプだから、そっちも女友達と好きに遊んでなよ』って感じ」 「えー! それって冷たくない? 放っておかれてる感じ」
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