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でもこんなくだらない夢を見てるってことはやっぱり生きてるのかもだなんて思いはじめる私もいて。
私の心とは裏腹に相変わらず青年の後ろ手に見える小さな窓から見える空は美しい茜色をしていた。
一体、あれからどのくらいたったのだろう。
『一時間と四十二分かな。』
と、青年は言った。
……ご丁寧にどうも。貴方が私をここに連れてきてくれたの?
何度考えても、やっぱりここは天国にも地獄にも思えない。
ここは何処なの?と問いかけても青年は見向きもしない。
ふと、辺りを見渡すと目の前に沢山の時計が飾られていることに気づいた。古い時計や新しいもの、動かないものと、様々な時計が部屋中に飾られている。
ここはカウンター席しかないカフェのようなところで、私はその最奥の席についていたようだ。
音はここからしてたのかと妙に納得してしまえるレベルの無数の時計たちに息を飲んだ。
『如何にも。ここはこの街に一つしかない時計屋だ。残念ながらカフェじゃないから不味い珈琲くらいしか出せないけど、一杯如何かなお嬢さん。』
珈琲を淹れるのが好きなのか、豆の入っている瓶を見せて笑い掛けたが、私が黙りこめばまた時計をいじり出した。
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