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祖父は居間でお茶をのんびり飲んでいる。出かけの際、祖父が「駅前気をつけろよー」と注意する声が聴こえた。
そうだ。駅前に怪しい黒い影があったと父が言っていた。あんまり関わりたくはないが、こればかりは見過ごすことが出来ない。僕は早足で駅まで向かった。
***
大学一年の初夏、僕は地下鉄の中で出会った幽霊たちと一時の友人関係を持ったことがある。その時に出会った花屋の店主には息子がいる。僕と同年であり、同じ学校なので、最近は彼とよく話をするようになっていた。
「黒い影?」
駅前の花屋、アサマフラワーに行くと丁度店の手伝いをしていた。浅間陽介はポピーの束をバケツに入れながら、僕の話を聞いてくれる。
「そんなのも視えるんだ」
「うーん……まぁ、悪いものって言えばいいのか……そういうのを感知してしまうというか」
「へぇー、やっぱそういうのってあるんだなぁ」
陽介は何かと理解があるので話も早いし助かる。それでも、僕の口調は未だにぎこちないのだが。きちんと会話が出来ているか自信がない。コミュ障をこじらせすぎたと反省している。
「うーん……そういうのって、悪霊化しているのがほとんどなんだってうちの親とか爺さんが言うんだけど……まぁ、確かによくないものだね」
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