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「なるほどなぁ。でも、俺はそういうの視えないから、防ぎようがないっつーか。追い祓ったりとか出来るの?」
残念ながら、僕にはそういった祓いの技術はない。
「関わらないようにするのが一番だよ。まあ、あまりにも酷いようだったら、業者に頼んだほうがいいらしいけど」
「業者?」
陽介はすぐさま食いついた。僕はうろ覚えの知識をゆっくりと紡ぐ。
「拝み屋とか祓い屋……まぁ、神社の神主とか坊さんとか、そういうのだよ」
「おお、本当にそんなのがあるのか……いやぁ、まだまだ知らないことがいっぱいあるなぁ」
彼は感心するように笑った。一方、僕は花屋のベンチに座ったまま、駅の方面に視線を移す。
父が言っていた黒い影……平面の影ではなく、僕が探しているのは黒い塊のようなものだ。でも、ぱっと視た感じではどこにもそういったものがない。
「まぁ、思い過ごしとか見間違いだったらいいけどさ……僕的にはあんまり近寄りたくないもので」
「ふーん……まぁ、危ないもんに首突っ込むのは誰だって嫌だしなぁ」
うん。僕もそう思う。
でも、世の中には自分から面倒事に首を突っ込む人種がいるのだ。これについては絶対、陽介に知られないようにしなくては……と決意を固めた瞬間だった。
「おっ! たいちゃんはっけーん」
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