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『ガラー』とドアが開く。
『遅くなってごめん』とお母さんの声。
さっきまで、担任と話していたという。
担任にこの事について質問すると、『解らない』の一言。お母さん達は『いじめ』があったんじゃないと聞くと『ウチのクラスでそれはない』とはっきりと答えた。
その言葉を聞いて、涙が出そうになるのを僕は、只々、頭を下げてぎゅっと堪えた。
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アイツのお母さんに挨拶をし、お母さんの車に乗り込み、家路に向かっている。
「…………………」
「……………………」
「……………………」
僕は助手席の窓から暗く、淀んだ空をずっと見つめていた。
お母さんが突然、ポチッと、ラジオを付ける。
ラジオからラテンにアレンジされた民謡の炭坑節が流れて来た。
『へぇー、民謡クルセイダーズって言うんだ。いいね』と大きめの独り言を言うお母さん。
それを無視して、ひたすら窓越しの淀んだ空をボーッと眺める僕。
そんな僕にお母さんは『民謡ってどう思う?』と突然、その言葉を投げ掛けた。
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