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しかし、時々眠りながら歩いていたりして、こちらが寒気を覚える。それでも彼女は詫びれる様子もなく、ケラケラと笑うのだ。
対して僕は、こんな考えることが趣味なのが災いして、軽い不眠症。だが、それもまたいい。眠っているように死んでいるのはどうも居心地が悪い。朝起きた時に、また死んでいたのかと思うと、頭が痛くなる。
相反する僕たちがひょんなことで知り合い、さらには付き合って、同棲までしている。結婚を前提にまで考えているのだが、正直不安で仕方ない。睡眠関係の障害を持つ夫婦なんて前代未聞だろう。多分。
「ということは、君は私をゾンビだと思ってるわけだ」
僕が数分考え込んでいる最中に、いつの間にか彼女は机に突っ伏して寝ていたが、突然、その頭を勢いよく上げ、起きたかと思うと、開口一番にそう言い始めた。
「なるほど。それはなんとも酷い言い様だ。自分の彼女をゾンビと。世の中には死体が好きだというサイコパスな考えの人もいるみたいだけど、さては君はそのサイコパスだな?」
探偵口調でまくし立てたかと思うと、すぐにまた机とキスした。
「そんなこと言われたの、初めてだ……」
「ははっ、私そんなことを言ってたの?」
彼女がすっかり起きた頃、先ほど言われたことを聞いてみると、記憶にないらしく、快活に笑いながら言った。
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