ようこそ、後輩

5/7
前へ
/118ページ
次へ
魔王軍の進軍は所属する軍団ごとにシフトが組まれてスケジュール管理されている。今日は俺らが所属する『屍人軍団』の出動日だ。 「はー、またアイツらと混ざんのかー」 「めんどいすよねー」 アイツらとはネクロマンサーが操る骸骨集団『スカルジャー』の事だ。 言ってみれば同僚なんだが、他の骸骨はネクロマンサーに操られているだけの傀儡。自分の意思で動く事も喋る事も無い。 『スカルジャー』だけじゃない。ゾンビ集団『リビングデッド』もミイラ集団『マミーズ』も全部、ネクロマンサーに操られてるだけ。 つまり『屍人軍団』の中で自我があるのは俺ら二人だけって訳だ。 逆に考えると、それだけの死体をネクロマンサーが一人で操ってる訳で。何だかんだでネクロマンサーの実力は本物だ。ただ至極残念な事に実力者だからといって人格者とは限らない…どころか確実に人格破綻者なんだよなぁ、ウチの上司。 ネクロマンサーの人格破綻者っぷりはともかく、物言わぬ骸骨集団に揉まれてひたすら無言で進軍とか、俺ですらウンザリするんだから、生来のお喋り好きな先輩には苦行以外の何物でもないだろう。 「コミュニケーションって大事。俺、死んでからつくづく思ったね」 「これに300年耐えた先輩を俺は心から尊敬します」 いや、マジで。
/118ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加