ようこそ、後輩

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ただひたすらに。ひたすらに殺し、屠っていく。 新しく築かれた屍人の山は新しい兵士を作り出す。 「おい…やめろッ!」 「嘘だろ?…やめてくれよォッ!」 たった今まで味方だった奴らが敵になる。 「ちくしょうッ!」 「死んでたまるかッ! 味方を殺してたまるかよォッ!」 屍人は死なない。新しい仲間を求め、邪魔な命を奪い去る。 さぁ、お前らもこっちに来いよ。 案外と居心地は悪くないぜ? 命の名残りを滴らせ、虚ろな眼が生者を睨む。 「うわぁあああ!」 「いやぁ、えげつねぇなぁ」 「あ、先輩」 いつの間にか俺の横に先輩が並んで小声で話しかけてきた。 「屍人とはいえ元は仲間。そりゃ剣も鈍るわなぁ」 「そっすね。ただの操り人形とは思えないですよね、人情的に」 「何だろなぁ。いっぺん死んで魔族になったからかねぇ。俺、人間に感情移入出来なくなってるわ」 「あぁ、ソレ俺もですよ。何ですかねコレ。思考も魔族側になってますよね」 「なぁー。元仲間とか思えねぇんだよなぁ。アレは敵。俺らが人間だった時に魔物に持ってた感情そのまんま」 「ですねー。不思議な感じですねー」 「あーあー、グダグダ。もうコレ、俺ら参戦しなくてよくね?」 「モブに徹しますかー」 「お前はモブにしちゃ目立つけどなー」 「そこは不可抗力なんで」 グダグダと会話しているうちにスカルジャーが人間の軍勢に雪崩込み、グダグダのうちに勝利した。 「さ、帰るか」 「ですねー」 本日の営業は終了しました、っと。
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