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俺達が領主の館に走り込んだ直後、背後の扉が閉まった。
『お邪魔虫は徹底排除。とはいえ中にも戦える人間はいるからね。油断は禁物だよー?』
どうやら扉を閉めたのはネクロマンサーだったらしい。一瞬、罠かと思ってヒヤッとしたぜ。
『さぁ、後はキミ次第。ボクはゆっくり見届けさせてもらうよ』
悪趣味め。
『にひゃひゃ♪』
「おーおー、成金趣味」
先輩がホールを見回して、そんな感想を述べる。
ギラギラゴテゴテと宝飾された鎧や剣、これ見よがしに主張する絵画やどデカいシャンデリア。確かに成金趣味だ。
「まぁ、見たトコ全部本物っぽいのが救いか?」
「さすが先輩。目利きの腕は確かですね」
「行商とはいえ、これでも商人だったからな」
「昔取った杵柄ってヤツですか」
「今じゃ宝の持ち腐れだ」
「ご謙遜。先輩のおかげで詰所が快適ですよ」
同じ予算で何故そんな良質の備品が揃えられるのかと他の団の奴らから散々やっかまれてるくらいだ。
茶葉すらワンランク上、他の団員が差し入れ持ってお茶しにくる事もあるからな。おかげで詰所の茶菓子は充実…いや、今はそれどころじゃなかった。
「ここから先は通さんッ!」
「推して通るッ!」
「ぐはぁッ!」
出番無かった。
「先輩、だいぶ腕上げましたね」
「教官が優秀でなぁ」
「恐縮です」
照れるぜ。
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