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私のシフトは早朝六時から九時までの三時間だ。週三日か四日入っている。
通勤途中の人で忙しい時間もあるけれど、七時過ぎまでは品出しと準備作業が続く。
消費期限の三時間前から、商品の引き上げをする。お弁当類の棚をチェックして、買い物かごの中に次々と入れていく。今日は売れ残りが多く、すぐにいっぱいになった。
スーパーなら値引きして売りさばくかもしれないが、コンビニでは基本全て廃棄処分にする。
ルール上、従業員が持ち帰ることもできない。
お客さんの少ない時をみて、鍵付きの大型コンテナに捨てに行く。
おにぎりもお弁当も、まだ食べられるのにと思いながら、捨てる。
そのたびに私は、辞めたくなるのだ。
先月、二十歳になった。顔が幼いから、全く大人になった感じはしない。
欲しいものがあるので早朝のバイトはやめ、少し割のいい夜のバイトにかえようかと思い始めていた。
よく大学の講義で一緒になる子が「全然平気だよ」と言っていた。
時間給が高すぎる店は「エッチなサービスを要求されちゃうよ」とアドバイスしていた。
あと三十分もすれば上がる時間だ。レジのピークも過ぎた。外に置いてある、ソフトクリーム型の看板の電源を落としに行く。
店内に戻り雑誌の乱れをなおす。イヤらしい雑誌のコーナーには、この時間決まって眼鏡をかけたおじさんがいる。店に来る人はだいたい同じで、毎日ほとんど変化がない。そろそろ潮時だと思う。
少し列ができたのでレジに入った。
名札の裏のバーコードをレジに読み込ませ、プレートをどける。
「お次でお待ちの方どうぞ」と言って顔をあげた。前に立っている人をみて、私は目を見開いた。
髪も短くなっているし服装もスーツではなくラフな感じで、数ヶ月前とは全く違う。それでも、ベートーヴェンさんだった。
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