2章 来訪初日

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「三枝君。君の気持ちはよくわかるが、まずは挨拶をするべきだろう」 「えっ」  どうやら、ぽかんと口を開けたまま、少女を見上げていたらしい。  彼女はころころと笑って小さなつま先を揺らした。  すぐに折れてしまいそうな、華奢な足首だ。 「あ、あの。俺、三枝紬です」 「はじめまして、つむぎさん。わたくしは宝珠華翠と申します。この子――きよあきさんのお母さん代わりをしていた、いとこです」  何を言われているのかわからなかった。  しばらくの間、日本語を理解できなかったと言った方が正しい。  紗川を見て、もう一度少女を見る。  どう見ても彼女は三枝よりも年下に思える。  せいぜい同い年がいいところだろう。  彼女はなんと言ったのか、反芻する。 ――きよあきさんのお母さん代わり  お母さんと言うのは、天使のことをさす言葉だっただろうか。    何かの間違いに違いない。 「あの……」  聞き間違いだろうかと思っていると、紗川が深くため息をついた。 「先に言っておく。間違いではない。こう見えて、僕よりも8歳年上だ」 「……えっと。え……ええええ????」
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