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1.プロローグ
「ヨウちゃんごめんね。
私、やっぱりまだガミさんのことが忘れられない。
こんな気持ちのままヨウちゃん付き合い続けるのは、反則だと思う。
だからやっぱり私たち別れよ?」
ある日待ち合わせ場所に行くと、珍しくレイコが既に待ち合わせ場所の駅前公園の噴水の前で、俺を待っていた。
待っていたというより、噴水の横に立って、固まったまま水面を見つめていた。
俺が「ごめん、待った?」と声をかけても、一瞬顔を上げて浮かない顔を見せただけで、また水面に視線を落とす。
俺は、「またか」と少しゲンナリする。
何ヶ月かに一回、俺の彼女のレイコはこんなことを言い出す。
俺はその「ガミさん」が誰か知っている。
「ガミ」こと石神ヒロキ。俺の同じ大学の4年生同士。
俺は面識がある程度だけど、3年生のレイコにとってガミはサークルの先輩だ。
別にガミとレイコは付き合っていた訳ではなく、レイコの一方的片思いで、告白すらしていないはずだ。
俺とガミが2年生の終わりの頃、ガミに彼女ができたことで、レイコはひっそりと失恋。
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