1.プロローグ

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その後ひょんなことからレイコは俺と付き合うようになって、すでに2年になろうとしているんだけど、未だにレイコは定期的にこんなことを言い出す。 そういえば、前回はまだコートを着ていた時期だから4か月程前だった。 なにやらこう書くとレイコは『メンヘラ』っぽい感じだけど、普段はそんな気配もなく、性格も明るく活発で、スカートよりもジーンズが似合う、アウトドアが好きで日に焼けてちょっとボーイッシュな女の子だ。 それが今日は、いや今日も、別人のようにテンション低く、虚ろな感じだ。 俺も、通算5回目ともなると、レイコの「やっぱり別れよ?」が始まった際のあしらい方は心得てはいるけど、あまり心地のいい会話ではない。 今ですらそうなのだから、初めてこの話を聞いた時は、こっちが泣きそうになるくらいの衝撃だった。 俺はこの会話が始まりそうな時には、出来るだけ優しく穏やかに話しかけることにしている。 「どうした?何かあった?」 すると、レイコは冒頭のセリフを話し始める。 いつも大抵出だしは同じ感じだ。 レイコから“いつも”の衝撃の告白があった後は、その後のレイコのいろいろな愚痴話にもとことん付き合ってやる。 レイコの心の中のモヤモヤを全部吐き出させて、それを否定せずに聞いてあげるのだ。     
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