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手は洗ってもらったので、綺麗になっていた。タンスまで歩いて着替えをとろうと思ったけれど、立ち上がると足元がふらついた。仕方がないので、待つことにした。
なかなか帰ってこなかった。
「もう着替えたか?」
少しドアを開けて私に声をかけてくれた。
「ごめんなさい」
言葉が見つからずに、謝った。奏ちゃんが入ってきた。
「歩くのがちょっと怖くて、服を取りに行けへんで」
「そっか、今取ったるから、待っといてな」
早足に部屋に入ってきた。
「真ん中の引き出しに、部屋着がある」
頷いて、一番上になっているルームウェアを取ってくれた。奏ちゃんは私にルームウェアを渡した後、机の上のボトルフラワーを手に取った。
「これが言ってたドライフラワー?」
優しく笑いかけてくれる。
「本当に色がそのまま残るんやな、驚いた。全く同じように作ったんやな」
両手に一つずつ持って、目の高さまで持ち上げて見比べている。
「一つは奏ちゃんの分やから」
「ほんまに? ありがとう」
奏ちゃんは机の端の方にボトルフラワーを戻した。それから私の後ろに移動した。
「見ないから、着替えて」
苦しすぎて、涙がこみ上げてきた。
「どうしたん?」
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