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「で?俺は何をすればいい」
くせっ毛の黒髪をかく少年は半ば諦めの声を漏らした。
可憐な少女が宣言通り豪語した、こいこいの嵐を見舞われた直後だから致し方ない。最初こそ負ける気はしなかったが、突如、三光、赤短、たん七枚、かす十二枚と決められ、あえなく撃沈したのだった。
その結果を当然とばかりに不敵の笑みを浮かべる化け猫は、少年の潔のいい切り出しにわざとらしく感心してみせる。
「案外呑み込みの早い奴にゃ。もっと駄々をこねるとばかり思ってたからにゃー。つまらん」
しかし、最後はやはり心の内が漏れてしまった。
「おい。潔い良い好青年と言え」
「にゃはははは。童の分際でつまらんじょーくを言うなや」
生真面目な顔にか、その発言には、化け猫は腹を抱えるわけでもなくから笑いをし、冷たく言い放った。どうやら本心で少年を下に見ているらしい。そんな化け猫を呆れて見下ろす少女は静かにあることを指摘する。
「茶々丸。覚えたての言葉を無理に使わなくてもいいのに」
『ジョーク』がカタコトになっていたことに本人は気づいていなかったらしい。化け猫、茶々丸はカタカナを発するのが苦手のようだ。指摘されはたと顔を顰めた。しかめた
「にゃ。マスターできてなかったか?」
真面目に唸っていると、先程小馬鹿にされ腑に落ちない少年が仕返しに嫌味ったらしく言う。
「背伸びしても人間様には適わないんだよ、ねーこ」
「この童め…茶々丸様と…呼べと言ったにゃー!」
シャーッ!と牙を向いた茶々丸の蹄が少年の頬を捉えたのは半秒も要しなかった。
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