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「それを今から考えるんですよ」
不敵に笑う牡丹は、いつもの朗らかさではない。けれど美しく微笑み、
「欲しい手札を揃えてね」
そう付け足すと優雅に踵を返し、緑青を睨みつけた。あの、牡丹が。
睨まれた当の本人はその妖艶なる視線に気づくと、ニッと片方だけ口角を上げ、好奇心に満ちた翡翠の目を向けた。
ピリつく空気が漂う中、若草だけは緩やかに自分のペースで物事を解釈している。
「つまり…まだゲームは終わってないってことですか?」
純粋な問いに、牡丹は緑青から目を逸らし、しかし背は向けず若草ににこりと答えた。
「はい。勝ち逃げなんて許しません」
左次真が息をのみ、若草はにこにこと柔和な笑みをたたえ、緑青は不敵に笑い、牡丹を見つめていた。
少女は交錯する思いを胸に、毅然とした態度で告げる。
「さっ、疫病神を炙り出しましょう」
質の悪い、このややこしい一件をふっかけてきたあやかし、疫病神に対しての、明らかな怒りを込めた、宣戦布告。
この中の誰かが、犯人すなわち疫病神。
あの子が欲しい。この子じゃなきゃ嫌だ。
活気に満ち溢れたあの子は、どうしたら手に入る?
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