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「……おい!おい!!」
僕を呼ぶ声がする。
「早く起きろ!!死にたいのか!!!」
僕は風邪をひいているんだ。出来ればそっとしておいて欲しい。
そんな僕の希望などお構いなしで、一人の男が僕を揺さぶる。
「ちっ……死んじまったか。満足に飯も食えない今の世じゃ、仕方のない事なのかもしれないが……。せめて、葬ってやろう。」
寝ぼけている僕を、軽々と抱える男の人。
少し歩くと、僕は地面に放り投げられた。
(いてっ……。)
背中を強めの衝撃が走る。
その衝撃で、目を開けると……
空が、燃えていた。
いたる所から黒煙が立ち上り、僕の横たわる、その周りには……
……動かなくなった、人がたくさん横たわっていた。
「ちょ……待って……」
驚く僕の頭上から、土がかけられていく。
「今度は……こんな戦争なんてない世の中に生きるんだぞ……。」
先ほど、僕を放り投げた男の人が、心底悔しそうな表情でつぶやく。
「ちょっと待って!!!」
僕は、力の限り叫んだ……。
「……あれ?」
身体を起こすと、そこはいつもの……
……僕の部屋だった。
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