4人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
目を覚ました僕は、体中汗まみれだった。
気持ち悪くて着替え、キッチンで冷蔵庫を開ける。
何か冷たいものが飲みたい。
冷蔵庫を物色していると……。
「具合はどうだ?」
おじいちゃんがいた。
「うん、まだちょっと怠いかな。」
「そうか。しっかり水分を取って、たくさん寝るんだぞ。」
おじいちゃんを見ていると、何故か先ほどの夢の光景が頭をよぎる。
「おじいちゃん……戦争って、どう……だったの?」
僕はこの時初めて、おじいちゃんに戦争について訊ねた。
おじいちゃんは、私の問いに驚いた表情を見せたが、すぐに険しい顔になり……。
「地獄、だったよ。」
そう、絞り出した。
「周りは焼け野原。他人の子を葬る苦痛……あんな思いは二度としたくないものだよ。」
そう言うと、おじいちゃんは居間へと消えた。
「他人の子を……。」
夢の中で僕を葬ろうと大きな穴に投げ入れた、あの青年。
あの苦悶に満ちた表情。
(おじいちゃんも、あんな思いをしたのか……)
僕は、布団に真っ直ぐ向かった。
この日は、何故かおじいちゃんの言いつけを素直に聞こう、そう思った。
最初のコメントを投稿しよう!